2016年1月16日土曜日

アルビレオの花ーダイヤモンド・リリー

 
 展示は「桜」を描いた作品を中心に50号から0号まで25点近く・・の予定です。
一足早い「春」を感じていただけるように春のお花がほとんどですが、「冬の花」もあります。
星の花のようにキラキラ輝く「ダイヤモンドリリー」、そのまま作品タイトルにしても良かったのですが、「銀河鉄道の夜」にでてくる星の名前「アルビレオ」を思いつきました。

「アルビレオ」といえば言葉の響きの美しさと、宮沢賢治が文章の中でサファイアとトパーズになぞらえたように「天上の宝石」として天体ファンのかたにはお馴染みの星だそうです。

「窓の外の、まるで花火いっぱいのやうな、あまの川のまん中に、黒い大きな建物が四棟ばかり立って、その一つの屋根の上に、眼もさめるやうな、青宝玉(サファイア)と黄玉(トパーズ)の大きな二つのすきとほった珠が、輪になって静かにくるくるとまはっていました。」
(林完次氏「宙(そら)の名前」掲載・「銀河鉄道の夜」部分)

夏の星座の代表選手「白鳥座」のくちばしの部分にあたることから、アラビア語の「アルビオ」(くちばし)由来だそうですが、はっきりとしたことは判っていないそうです。
星の名前はアラビア語由来のものが多く、美しい響きのものが数多くあり、お花の名前にも使われているようです。
去年はフルール・トレモロ さんのお陰様で、「アルタイル」という名前の会津地方で生産されているカスミソウがあることを知りました。 お花の名前や産地に詳しく、単に「ラナンキュラス」とかではなく、そのラナンキュラス自体の名前を全部教えていただけるので、ひとつ、ひとつのお花に対する思い入れやこだわりが伝わってきます。
「ダイヤモンド・リリー」のなかには、横山園芸 さん作出の「マタル」・・・
(アラビア語で「雨の中の幸運」という意味だそうです。)というとても素敵な名前のお花があって、描いてみたいお花の一つです。
ダイヤモンドリリーは、晩秋の花で開花時期も短いそうですが、横山さんは色々な研究や工夫を重ねていられるそうで、晩秋から冬に咲くダイヤモンドリリーを、2020年の東京オリンピックの際の
「ビクトリー・ブーケ」として使えないか?と依頼されてご苦労されているようです。
夏の夜空に輝く天上の宝石「アルビレオ」のように美しいダイヤモンドリリーが、真夏の地上に輝くことを願っています。



昨年、何とか実際のお花を写生でき、本画にしてみました。
本は私の好きな天体写真家、林完次さんの「天の羊」のアルビレオのページです。

「天上の宝石」を名乗るにはまだまだ幼い出来ですが、
2月13日~21日の展示でご覧いただければ嬉しいです。